西洋占星術における「逆行」とは、地球から見たときに天体が通常の運行方向とは逆に動いているように見える現象のことです。
これは実際に天体が逆に動いているわけではなく、地球の公転速度との関係によって生じる見かけの動きです。
逆行する天体と頻度
以下の天体が定期的に逆行します。
- 水星:年に約3回(通信・情報・移動に影響)
- 金星:約1.5年に1回(愛情・金銭に影響)
- 火星:約2年に1回(行動・意志に影響)
- 木星・土星・天王星・海王星・冥王星:毎年逆行し、数ヶ月続く(社会的・内面的テーマに影響)
■逆行が示す意味
出生図における逆行天体は、その天体の象意が内向きに作用しやすい、あるいは成長に時間がかかることを意味するとされています。
例:
- 水星逆行→思考が内省的。口下手になったり多弁になったりしがち。表現に時間がかかるが、深い考察力を持つ。
- 金星逆行→愛情表現が控えめ。独特の美意識を持つ傾向。
- 火星逆行→表に出しにくい怒り。意志の発露に葛藤があることも。
- 木星逆行→物事に対して保守的・怠惰的になりやすい。あるいは内面的な成長や精神的成熟を重視する傾向があり、独自の哲学や道徳観を持つ場合も。
■トランジットでの逆行の影響
トランジットでの逆行天体は、見直し・振り返り・修正の時期を象徴します。
特に水星逆行期間は「通信の混乱」「連絡ミス」「過去との再会」が起こりやすいと言われています。
例:出生図で逆行天体を見る場合
たとえば私の出生図では、第4ハウス天秤座の水星と第10ハウス牡羊座木星がともに逆行しており、対になってオポジション(180度)を形成しています。
この組み合わせは「自分の考え(思考)」と「社会的信念(木星)」の間で揺れやすく、内省的で慎重な判断傾向を示します。
それは時に、自己表現や仕事において「考えすぎる」「決断に時間がかかる」という傾向を表す場合もあります。
しかしこの対立関係に対して、第5ハウス射手座の天王星(第6ハウス射手座カスプ付近)が調停(メディエーション)として機能し、独創的な価値観や未来志向の視点、ユニークな創造活動を通じて、両者の緊張を創造的に昇華する可能性が示されています。
逆行天体があるときは「内にこもるテーマ」「抑圧をもたらすもの」だと思われがちですが、このように他の天体がサポートしている場合、独自性や深みとして昇華させてくれる可能性がある、一種の「精神的再構築の装置」として働くこともあるのです。
まとめ
西洋占星術における逆行は、単なる混乱ではなく「内面を見つめなおす重要な時期」とも捉えられます。
出生図でもトランジットでも、逆行天体をどう生かすかが、人生における一つの鍵となるのです。
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