12の人生の舞台を読み解く
西洋占星術では、ホロスコープを読む際に「天体がどの星座(サイン)にあるか」だけでなく、「どのハウスにあるか」も非常に重要です。
天体がどのハウスにあるかによって、「人生のどの分野でその天体のエネルギーが発揮されるか」が分かるからです。
本稿では、ハウスの基本的な意味と、各12ハウスの象徴とする分野について分かりやすく解説します。
ハウスとは何か?
ホロスコープの円は、12のハウス(室)に分けられています。
それぞれのハウスは、私たちの人生における「活動の場面」を表しています。
- 「天体」=その人が持っている性質や働き。どんなエネルギーを持っているか。(例:太陽=自我、月=感情)
- 「サイン」=そのエネルギーの性質や表れ方。その性質がどんな性格で現れるか。(例:牡羊座=情熱的)
- 「ハウス」=そのエネルギーが働く場所・分野。その性質が“どの場面”で発揮されるか。(例:第10ハウス=仕事や社会)
つまり、ハウスは「人生のどこで、その天体が働くのか」という“舞台”を示しているのです。
各ハウスの意味一覧
ハウス | キーワード | 主な意味 |
第1ハウス | 自己 | 自分自身、外見、第一印象、個性、生命力 |
第2ハウス | 所有 | 金銭、収入、物質的価値、才能、所有物 |
第3ハウス | 知性 | 学習、会話、情報、通信、兄弟姉妹、隣人、移動、近場の旅行 |
第4ハウス | 基礎 | 家庭、家族、居場所、プライベート、安らげる場所、心の拠り所、深層心理 |
第5ハウス | 創造 | 恋愛、趣味、子ども、表現活動、投資、ギャンブル |
第6ハウス | 労働 | 働き方、日常業務、健康、医療、実務、習慣 |
第7ハウス | 対人 | パートナー、結婚、契約、人間関係 |
第8ハウス | 深層 | 遺産、共有財産、絆、変容、性的結びつき、血縁関係、生と死、カルマ |
第9ハウス | 探求 | 哲学、宗教、海外、異文化、高等教育、思想、信念、出版 |
第10ハウス | 社会 | 仕事、キャリア、社会的立場、権威、名誉、目標、野心、独立、自営 |
第11ハウス | 未来 | 友人、グループ、理想、希望、自由、博愛、改革、多様性、ビジョン |
第12ハウス | 無意識 | 隠れた場所、ネット、テレビ、ラジオ、潜在意識、精神世界、隔離、奉仕、スピリチュアル、秘密 |
ハウスの読み方の基本
■天体×ハウス→「どこで働くか」
天体がどのハウスに入っているかで、その人がどの人生分野に力を注ぎやすいかが分かります。
例:
- 太陽が第1ハウス→自分らしさを前面に出す
- 金星が第7ハウス→恋愛や結婚への関心が強い
- 火星が第6ハウス→仕事での競争意識や体力に強み
■カスプのサイン→「どんな姿勢で扱うか」
各ハウスの始まり(カスプ)にある星座は、その分野に対する態度や取り組み方を表します。
例:
- 第10ハウスのカスプが山羊座→社会的成功に対して真面目で努力家
- 第4ハウスのカスプが蟹座→家庭への愛情や安心感を大切にする
ナチュラルハウスシステムとは?
各ハウスには、もともと対応する「星座」と「支配星(ルーラー)」が存在します。
これを「ナチュラルハウスシステム(ナチュラルオーダー)」と呼び、ハウス理解の助けになります。
ナチュラルハウス一覧
ハウス | 対応星座 | 対応天体(ルーラー) |
第1ハウス | 牡羊座 | 火星 |
第2ハウス | 牡牛座 | 金星 |
第3ハウス | 双子座 | 水星 |
第4ハウス | 蟹座 | 月 |
第5ハウス | 獅子座 | 太陽 |
第6ハウス | 乙女座 | 水星 |
第7ハウス | 天秤座 | 金星 |
第8ハウス | 蠍座 | 冥王星(伝統的には火星) |
第9ハウス | 射手座 | 木星 |
第10ハウス | 山羊座 | 土星 |
第11ハウス | 水瓶座 | 天王星(伝統的には土星) |
第12ハウス | 魚座 | 海王星(伝統的には木星) |
このナチュラルな対応関係は、ハウスの性質をより深く理解する手がかりになります。
例えば、第1ハウスは「自己・始まり」を表し、それは牡羊座の「スタート・直感・能動性」に通じています。
同様に、第10ハウスの「社会的地位・目標」は、山羊座や土星の「責任・成熟」と重なります。
ハウスの3区分:アンギュラー・サクシーデント・キャデントとは?
ホロスコープの12ハウスは、位置によって3つのタイプ(3区分)に分けられます。
これらは天体の「活動力」や「目立ちやすさ」に関係し、ハウスの持つ力の強さに影響を与えます。
◆ アンギュラーハウス(活動宮的ハウス)
- 該当ハウス:第1・第4・第7・第10ハウス
- キーワード:起点・行動・影響力が強い
特徴
- ホロスコープの「軸(アングル)」(ASC/IC/DSC/MC)に当たる
- ここに天体があると、人生の中で目立つテーマになる
- 社会的影響、対人関係、家庭、自己意識などに直結しやすい
◆ サクシーデントハウス(不動宮的ハウス)
- 該当ハウス:第2・第5・第8・第11ハウス
- キーワード:安定・維持・内面的な力
特徴
- アンギュラーの次に影響力がある
- 天体があると、その分野に粘り強さ・持続力を発揮
- 内面的成長や資産、創造性、人脈などに深く関与する
◆ キャデントハウス(柔軟宮的ハウス)
- 該当ハウス:第3・第6・第9・第12ハウス
- キーワード:柔軟・準備・学び・見えにくい影響
特徴
- 比較的表に出にくい影響力
- 学習、分析、精神性、奉仕といった“補佐的”役割
- 天体があると、内省・準備・支援的な役割を担う
■この分類の活かし方
- アンギュラー=現実を動かす力
- サクシーデント=蓄え・守る力
- キャデント=準備・整える力
たとえば、太陽がアンギュラーハウスにある人は自己主張が強く、キャデントにある人は内省的で学問的関心が高まるなど、天体の“効き方”が変わるため、解釈に奥行きを出す手がかりになります。
まとめ
ハウスは、ホロスコープにおける「人生の舞台」です。
同じ天体や星座でも、どのハウスにあるかによって意味が変わるため、読み解きの際には欠かせない要素となります。
また「どのハウスにあるか」は、ただテーマを示すだけでなく、天体の活動力・現実への影響度も変化させます。
今後ホロスコープを読むときは、「天体が何座にあるか」に加えて「どのハウスにあるか」、そして解釈の奥行きを出す手がかりとして、アンギュラー・サクシーデント・キャデントの「3区分」にもぜひ注目してみてください。
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