西洋占星術を学んでいくと、「5度前ルール」というワードを聞くことになると思います。
「5度前ルール」は、ハウスに入る5度前の天体が、すでにそのハウスに影響を与えるとする占星術上の解釈です。
使うかどうかは目的と精度次第
「5度前ルール」を採用するかどうかは、占術者の判断に委ねられます。
採用する場合は、目的と精度、使用するハウス方式を重要視して鑑定する方が良いでしょう。
●使用しても良い場合
- 自身や周囲の人、クライアントが「ハウスに入っていないのに、性格や心理傾向、身の回りの出来事がその象意通り」と考えている場合の補足解釈として
●使用しない方が良い場合
- 解釈が曖昧になり、混乱を招く可能性がある場合
- ハウス境界(カスプ)を明確な区切りとして扱いたいとき
- ホイールサイン式など、プラジータス式以外のハウス形式を使用する場合(星座には5度前ルールは適用されない)
ホロスコープ事例から見る「5度前ルール」
◆事例①
例えば、第10ハウス牡羊座カスプ13°51’の前に、第9ハウス牡羊座月13°28’が配置されているとします。
- 牡羊座=直情的で活動的な性質
- 月=感情、心、安心感
- 第9ハウス=探求心、思想、哲学、専門知識
- 第10ハウス=社会的立場、目標、キャリア
を表します。
この場合、月は第9ハウスに属しつつ、第10ハウス的な働きも強く現れると判断できます。
さらに、第9ハウスの月はMC(=第10ハウスカスプ)と合です。
つまり、
「内面や感情の安定(=月)は情熱的な(=牡羊座)探求心や理想(=第9ハウス)から出発し、それが社会的な顔や職業的責任感(=MC/第10ハウス)へと繋がっていく」
そこから転じて、
- 自分の理想や信念に基づいた社会的な目標を抱え、それに向けて精力的に活動する傾向
- 学びや教え、信念の表現を通じて職業的な達成を求める
- 心理学や精神世界、哲学などに強い興味を持ち、それを仕事に活かす
といった読み方が可能です。
◆事例②
第5ハウス蠍座カスプ03°33’の前に、第4ハウス蠍座冥王星02°59’が配置されているとします。
- 蠍座=執念深く、徹底的に取り組む性質
- 冥王星=変容、破壊と再生、極端さ、極限的、支配的・威圧的、巨大権力
- 第4ハウス=家庭、ルーツ、親との関係、心の基盤
- 第5ハウス=創造性、恋愛、子ども、趣味の分野
を表します。
5度前ルールを適用するなら、この場合も、冥王星は第4ハウスに属しつつ、第5ハウス的な働きも強く現れると判断できます。
ここでは、
「家庭環境での徹底的な支配関係、幼少期からのコンプレックスあるいはトラウマ体験(=第4ハウス蠍座冥王星)が、恋愛や趣味、子どもとの関係、創造性(=第5ハウス)に影響する」
つまり、
家庭環境で培われた価値観や幼少期でのトラウマ、自己否定につながる体験が、極端な恋愛観、子どもへの過干渉、創作や趣味に対する過度のこだわりや執着を引き起こす
と解釈できます。
まとめ
先述した通り、「5度前ルール」を採用するか否かは占術者の判断に委ねられますが、採用する場合は、本来のハウス配置を軽視しない方が良いと著者は考えています。
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